現代社会において階段はエスカレーターやエレベーターへの置き換えが進められておりその使用頻度はどんどん減少している。
エクササイズのために日常生活の中で階段を意識的に使用する人もいるが、それは社会的に階段が求められていると言うよりはそこに在るから利用されていると言う方が適切だろう。
階段を利用するのが困難な人のために、それは取り壊されてスロープへと作り変えられていることも増えており、むしろ流れはそちらに向かっているように思われる。
「非常階段」というものの名前が物語る通り、階段は常ならざる時に使われるものへとなりつつあるのかもしれない。
子どものころ神社やお寺の階段は良き遊び場だった。
学校の階段でふざけて遊んでいると先生から怒られた。
実際に転落して怪我をした友だちもいた。
それでも階段で遊んだ。
上下移動のための階段というちょっとした負荷はその機能とは異なる形で人の遊び心をくすぐる仕掛けでもあるようだ。
現代の子どもたちは階段で遊んだりするのだろうか。
そもそも階段で遊ぶことを許されているのだろうか。
『6steps』はそんな子ども時代へのノスタルジーであると同時に、いずれは階段そのものへのノスタルジーとなるのかもしれない。