階段は「高低差のある場所への移動を行うための構造物」と定義されている。
「6steps」の上演は階段のある場所ならば劇場以外でも行える可能性があると思われるが、劇場公演の場合は上演のために6段の階段が用意される。
そしてこの階段は構造物としての階段だけが取り出されたものなので昇降することによって高低差のある場所移動はしない。
ただ昇降するだけの構造物となるのが特徴的である。
人は誰かが階段を昇り降りするのを見ると、階段を用いる人の目的をイメージするが「6steps」の劇場公演では、その目的が達成されることがない。
例えば寺社仏閣の階段を昇る人を見れば、その人が参拝に行くことを想像するであろうし、駅のホームへの階段を降りる人を見れば、その人が電車に乗ることを想像するだろう。
しかし「6steps」の階段ではそのような目的は何度階段を昇降しても叶うことがないのである。
そこにこのダンスの「アソビ性」は在るように思われるし、同時に観客も更に自由な想像を許容されることになる。